3月23日(土)牛田智大さんのリサイタルに行ってきました。
会場は大阪のザ・シンフォニーホール。
プログラムは
シューベルト/リスト:白鳥の歌より 第7曲「セレナーデ」
シューベルト:4つの即興曲 D.899 op.90
リスト:愛の夢 第3番
シューベルト/リスト:12の歌より 第2曲「水に寄せて歌う」
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調
でした。
2月に読売交響楽団と共演したチャイコフスキーのコンチェルトに行って、どうしてもリサイタルでの演奏が聞きたくなってしまいました。
特に、リストのロ短調ソナタの実際の演奏が聞きたい。
リスト・ソナタがプログラムで組まれていたのは、大阪公演だけ。
日帰りで行ってきました。汗。
『セレナーデ』
とても有名なメロディー、牛田さんの音は、予想通り角の無いびろうどのようにまろやかなものでした。
『4つの即興曲』
シューベルトのピアノ曲は、もちろん鑑賞するに値する芸術作品ではありますが、自分で弾くことによってより楽しめる音楽だと、私は考えています。
私は小学4年生か5年生の時に2番を習いました。
初めて弾くシューベルト、とにかく弾くのが楽しくて楽しくて、何時間でも練習したものです。
牛田さんも、シューベルトの即興曲はきっと幼少の頃から演奏していたことでしょう。
長い時間をかけて磨き上げられた音たち。
でも、まだ完成されてはいません。
全てのパーツを美しく整え、いつの日か究極の音楽に組み立てる準備をしている、なぜかそんな印象を受けました。
この日の演奏も十分に素晴らしかったのですが、もっと大きな能力を秘めているように感じてなりませんでした。
『愛の夢 第3番』
名曲アルバムには必ず入っているこの曲、自分でも何百回と弾き、生徒さんのレッスンでも何回も何回も取り上げています。そんな馴染みの曲ですが、初めての牛田さんの演奏のおかげで新鮮に聞くことができました。メロディーと伴奏のバランスや音色変化、さすがの一言です!
『水に寄せて歌う』
さらりと演奏されていましたが、相当難しい編曲です。悲しげなメロディーに加え同時に伴奏部のメロディーも対位法のように弾かなければなりません。よどみなく流れる美しい音楽に涙が滲みました。どの演奏も素晴らしかったのですが、この曲が一番心に響きました。
『ピアノ・ソナタロ短調』
水に寄せて歌うの拍手を待たずに演奏が始まりました。
超絶技巧が冴えわたります。
浜松国際コンクールの3次予選で牛田さんの演奏を聞いた時、その技術の高さに驚愕しました。
この曲は、一瞬でもテンポが弛むと、ダメダメな演奏になってしまいます。
この日も、縦横無尽に駆けぬけるスケールや、華やかなオクターブのアルペジオが、輝きながらも爽快な速さで音楽が流れ、本当に素晴らしかった。
低音はピアノの能力限界まで鳴らされ、まさしく神の声のよう。
グレートヒェンの可憐な愛のメロディー。
第3部のフゲッタもまさに遁走曲、次々と音楽が湧き出て、走り抜けて行きました。
しかし、この曲を大ホールで演奏するには相当危険がはらんでいることも実感しました。
ペダリングを失敗したら、きっと共鳴しすぎて音と音が繋がり濁ってしまうでしょう。
この難曲を牛田さんが敢えてコンクールで弾いたのは、ピアニストとして自分の道を進んで行く決意表明のように感じます。
牛田さんは現在19才。
ずっとずっと長い先があります。
牛田さんのテクニックの高さは疑いようがありませんが、その技量をひけらかすことは絶対にしないと心に誓っているのではないでしょうか。
その謙虚な姿勢こそ、一層音楽を高みへと上げて行くことでしょう。
これからのご活躍をお祈りします。
アンコールはプロコフィエフのソナタ第7番op.83の第三楽章でした。
あれだけのプログラムを弾いてこのパワーがあるなんて、細身の身体ですごいです。
【つくば市 ピアノ教室 スピカ】