小説『羊と鋼の森』を読みました。
大人の生徒さんからのオススメでした。
あまり長くはない小説ですので、あっという間に完読。
でも、心の中には深い感動が残りました。
ある素直な青年が調律師として歩んでいくお話なのですが、ピアノに対しての溢れる想いが本当に美しいのです。
主人公が尊敬する先輩調律師・板鳥の言葉です。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
主人公に理想の音を問われ、板鳥は文学を例えにしてこう答えるのです。
私がこの文を読んで、まっ先に浮かんだのはダニール・トリフォノフのピアノです。
甘い音。
こういう音を出すピアニストはそうそういません。
最高のテクニックを持っている上に、強烈な個性を併せ持ち、その個性が愛されるものであるのです。
天使のようでもあり、小悪魔的でもあります。
トリフォノフのような音は世界にちゃんと存在していて、その音を自分も追い求めて行こう。
そう勇気付けられた『羊と鋼の森』でした。
