もう何年も前のことになりますが、アメリカのフィラデルフィア美術館を訪れたことがあります。
ギリシャ神殿を模した巨大なフィラデルフィア美術館には、デュシャンの作品はじめ、充実したコレクションがありました。
シーズンオフの平日だったこともあり来館者は私たちのみで、ゆっくりと見て回ることができました。
奥まったコーナーに、日本の茶室を移築したものと茶器類が展示されていました。
何もかにもが巨大なアメリカで、その日本文化の展示室には静けさと繊細さがそっと存在していました。
ああ、日本には日本の良さがあるのだな、と心から実感できた瞬間でした。
その静かな佇まいは、日本人だけが理解できるものではない普遍的なものが含まれていると思います。
それは海外からの旅行者の多くが日本に求めているものではないのでしょうか。
西洋人のようには歌えない日本人ですが、きっとピアノの演奏にも日本人にしかできない演奏というものがあるはずです。
日本人らしく、あるいは自分らしくいることは大変難しいことですが、芸術で何かを表現するにはそれしか方法が無いように思います。