今、私が一番心酔しているピアニストは、グレゴリー・ソコロフです。
ソコロフはロシア人ピアニスト。
来日したのはずっと昔、そして未来に来日する予定が全くない、日本在住者にとっては「幻(まぼろし)のピアニスト」と言っていいでしょう。
ありがたいことにソコロフの動画は豊富にあり、自由に聞くことができます。
昨年、無観客で収録された演奏にシューマンの作品99「色とりどりの小品」があります。
その、透明感のある音!
どうして、あんなに豊かな響きなのに透き通って聞こえるのでしょう?!
音楽も本当に自然で、森の木漏れ日や水面のきらめきそのものです。
こんなに穏やかで美しい音楽なのに、一つの時代の終末を予感させます。
かつて実際に存在したロマンティックな世界。
今では芸術作品の中でしか感じることができない、遠い時代です。
シューマンの死によって、ドイツロマン派は終わりを迎えることになる、ということをソコロフの演奏で私は知りました。
自分が天国に行く前に、一度は実演を聞いてみたいピアニストです。