カテゴリー別アーカイブ: 奏法

若い力

現代奏法・ロシア 奏法について、若いピアノ指導者の方が動画を作成してYouTubeで公開してくれています。

その内容は具体的で分かりやすく、これは本当ならば門外不出なのでは?と思われるほどです。

私の想像では、おそらく、このお若い先生は現代奏法・ロシア 奏法を知ってもらいたい一心で動画を公開されているのだと思います。

冒頭に名曲のさわりを演奏されているのですが、ふくよかでしっとりとした美しい音に、この先生の一音に対する思い入れの大きさを感じます。

ピアノを深く愛する若いピアニストの方がいらっしゃることは、日本のピアノ界にとって心強い限りです。

若い人から学ぶことは多いです。

それは、若い人は私よりもずっと未来に近いからです。

若い力が発揮できる世の中であるように、自分もできる限りの指導を頑張りたいと思います。

キラキラ星

ロシアンピアノメソッドのピアノ教本『不思議な音の国』上巻の最後の曲はキラキラ星です。

生徒さんからきれいに色づけされた星の切り抜きをもらいました。

微妙なイラストの横に貼り付けて、大満足。

ありがとうSちゃん。

キラキラ星は入門または初級のピアノ曲の定番です。

ハ長調で弾くと、ド〜ラまで出てきます。

ラを弾くために、途中で複雑な指使いになります。

大人にとっては何でもないことですが、小さい子どもにとってはやりづらさは計り知れません。

というか、楽譜によってはその複雑な指使いの練習のための曲になっています。

それを、私はいつも残念に思っていました。

こんなにきれいなメロディーなのに、正しい指使いで弾くことで精一杯です。

不思議な音の国のきらきら星はト長調になっていて、両手でメロディーを分けて弾きます。

今までの教本でも両手でメロディーだけを弾くものもありました。

でも、不思議な音の国では上巻通して、美しいノンレガートで弾く練習をずっと続けます。

一音一音を丁寧に弾く現代奏法で奏でられるキラキラ星は、心に響くメロディーになります。

小さいお子さんでも、こんな音かな?こんな音かな?と表現できます。

従来の教本で上手く表現できる弾き方を教えられなかったのは、ひとえに私の指導力不足。

でも、現代奏法が私を救ってくれました。

不器用な私でも、自分なりに満足できる演奏ができるようになったのですから、これから成長される小さい生徒さんたちだったら、『不思議な音の国』でずっとずっと素晴らしピアノを弾いてくれると信じています。

平均律と純正律

とても専門的な話になりますが、音階を作る音程には平均律というものと純正律というものがあります。

平均律はオクターブを均等に12等分した音程でできていますが、純正律は微妙に違う音程が混ざっているのです。

ある時、バイオリンを習っている生徒さんが、ドとソの音を同時に弾いた時のこと。

ん?

と首をひねり、何度も何度も弾き直すのです。

ピアノは平均律。

バイオリンは純正律。

完全5度であるドとソは、平均律の方が少しだけ音程の幅が狭いのです。

純正律の完全5度は、バイオリンだと音のうねりが調和して美しい響きになります。

平均律もそれほどのズレではないので気になるほどではないのですが、よーく耳をすませると少しだけ雑音を感じます。

この時の生徒さんは、ピアノの完全5度に違和感を感じたのですね。

どの調性も同じく弾くことができる便利な平均律ですが、純正律の感覚を持つことはとても大事だと思います。

若干の濁りを持つピアノの音程を、雑な打鍵で弾いてまうとどんなことになってしまうのか。

正しい奏法が必要な理由はこんなところにもある、と私は考えています。

指の強さ

ロシアンメソッドの教則本『不思議な音の国』と『はじめの一歩』を、自分自身も弾いて日々練習しています。

そして感じること。

それは自分の指の弱さです。

今までの弾き方は、手全体に力を入れて固めていただけだったようです。

腕全体の重みを支えるしっかりとした指先。

その指先で打鍵する感覚を掴めるように練習しています。

以前よりはマシになってきたと思うのですが、課題はまだあります。

それはオクターブ。

『不思議な音の国』と『はじめの一歩』は入門期の教本ですので、オクターブは出てきません。

ショパンのバラード4番の冒頭部が、まだ納得できる音で弾けないのです。

まだまだ、まだまだ修行は続きます。

打弦のスピード3

『はじめの一歩』や『不思議な音の国』のロシアンメソッドのピアノ教本で身につける弾き方は、まさしく打弦のスピードをコントロールするための奏法です。

正確に打鍵し、若干勢いをつけて弾くとフォルテ、ややゆっくりと弾くとピアノになります。

フォルテでもピアノでも力みは厳禁。

グランドピアノでは実際のハンマーの動きを見ることができるので、たまに目で確認して見るのもいいと思います。

ピアノの中を見ることは楽しいですし。

しかし、演奏中にそんなことはしていられません。

自分の弾いた音を耳をすませて聞くことが最重要になってきます。

聞く・聴く

この能力はとても大切です。

打弦のスピード2

グランドピアノのアクションにはジャックローラーという部分があります。

この部分が動くと、ハンマーは放り投げられるように弦に向かって上がり、打弦します。

乱暴に打鍵したなら、ハンマーは勢いよく放り投げられ、弦を激しく振動させ、時には打弦の弾みでハンマーが戻った後もう一度弦を打ってしまうことさえあります。

そうすると、当然雑音が入り、不快な音になってしまいます。

この打弦のスピードをコントロールすることが、美しい音を生み出す唯一の方法になります。

打弦のスピード

大学時代の鍵盤楽器学の講義で、

ピアノの弾き方でコントロールできるのは打弦のスピードだけだ、

という事実をはじめて知りました。

よく、「ピアノはテコの原理で音が出る」と言われます。

大雑把に言えばその通りなのですが、アクションと呼ばれるピアノの構造は大変複雑で、鍵盤を押してからハンマーが打弦するまでには、様々な部品の動きがあるのです。

鍵盤をピアニストが弾いても猫が歩いても、ピアノのハンマーはちゃんと動き、音が出ます。

それでは美しい音とは?

鍵盤の深さ

「指に体重を乗せて」

先生から良く言われた言葉です。

私は力強いフォルテが苦手でした。

練習の時にはとにかく鍵盤の底までしっかり押さえるように打鍵をしていました。

残念ながら今でもその弾き方が時々出てしまいます。

さっと鍵盤を撫でるだけのように弾くピアニストたち。

速いパッセージの時はダンパーペダルを駆使しながら鍵盤の浅いところを弾いていきます。

深いところまで打鍵してもスッと力を抜いています。

鍵盤の浅いところから深いところまで自在に弾けるようになるためには、しっかりとした指が必要です。

私が現代奏法を学ぶ道のりはまだまだ先が長いです。

楽器もスポーツも同じだと思うのですが、指導というのは自分の経験から行うものです。

指導者は神様ではないので、先生から全てを教えてもらうことは不可能なのです。

最後は試行錯誤しながら自分なりのやり方を見つけるしかないのです。

藤田真央さんは、10時間以上練習することも珍しいことではないそうです。

たゆまない鍛錬によって奏法の壁を乗り越え、今の藤田さんがいらっしゃるのです。

藤田真央さんが出場した2016年のジーナバッカウワー国際ピアノコンクール(藤田さんはジュニア部門の第3位)の時の動画を見てみると、手のフォームはごく自然できれいです。

現在とはちょっと違います。

藤田さんは美音にはこだわりがある、とどこかのインタービューで語っていました。

現在の奏法は、ご自身でチューンナップ、ブラッシュアップ、カスタマイズされた独自の弾き方なのでしょう。

手の形や体格は個人差が大きいので、自分にとって最良の弾き方というのは、最終的に自分で探し出さないといけないものなのです。

そこまでに至るはじめの一歩、これは本当に大切だと思います。