グランドピアノを持つだけで上手になる。
つまり、グランドピアノでなければ、大曲を「弾くことはできない」。
いつの間にか、そんな考えが確立してしまいました。
この考え方は、私を縛りつけました。
指導者になって、しっかりした強い音が出ない生徒さんや、
どうしても優しい音色が出せない生徒さんに対して、
「この子のおうちは電子ピアノだから」という思いが心に出てきてしまうのです。
グランドピアノ、
ううん、
せめてアップライトピアノを持っていれば、
この子はもっと上手になるのに。
でも、生徒さんのご家庭の事情は様々です。
私にできることって何だろう?
長い間、自問自答を繰り返してきました。
ある時、生徒さんにすすめられて、
ピアニストの反田恭平さんのドキュメンタリーを見ていると、
反田さんが自室の電子ピアノで練習しているシーンが映し出されました。
たぶん6畳間くらいのお部屋でしょうか。
古い電子ピアノを弾きながら、
「これがなかったら、夜は練習ができなかった。大切な楽器。」
というようなことを反田さんが言いました。
反田さんは、他のお部屋にグランドピアノを持っていたようです。
でも、防音設備は無かったようですので、
きっと夜間は電子ピアノで練習していたのでしょう。
私は、アップライトピアノで練習していた頃のことを思い出しました。
自分のアップライトピアノで、来る日も、来る日も、
ツェルニーやバッハやソナタを練習する毎日。
グランドピアノでなければできないことがある、
というのは事実ではあるけれど、
持ってないから、とか、
電子ピアノだから、とか、
理由をつけて諦めてしまっては、本当にそこで終わってしまう。
与えられた条件の中で、努力することが何より大切なんだ。
ようやく、そんなあたりまえのことを理解することができました。
今では、どんな生徒さんに対しても、
きれいな音色を指導することに、一切妥協はいたしません。
おうちの楽器が、たとえキーボードであったとしても、丁寧に弾いてもらいたい。
音楽を楽しんで、愛してもらいたいです。
【つくば市 ピアノ教室 スピカ】